世界初、高効率なトップエミッション型深紫外LEDの開発に成功
ポイント
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独自の光取出し構造技術により、世界で初めて高効率なトップエミッション型深紫外LEDの開発に成功
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従来のフリップチップ型深紫外LEDと比較し、約35%高い電力変換効率(WPE)を達成
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製造工程の大幅な簡略化によるコスト低減と高効率化を同時に達成可能な次世代型深紫外LEDを実現
背景

深紫外LEDの模式図
今回の成果
今後の展望
論文情報
関連する過去の報道発表
- 2025年11月13日 「世界初、コンサートホール規模の大空間中の浮遊ウイルスを安全かつ高速に不活性化する深紫外LED大空間殺菌システムの開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2025/11/13-1.html - 2025年2月12日 「高強度深紫外LEDにより鉄道車両内の省電力な空気殺菌を実現」
https://www.nict.go.jp/press/2025/02/12-1.html - 2023年11月1日 「世界初、光の配光角を制御できる深紫外LEDの開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2023/11/01-1.html - 2023年6月1日 「深紫外LEDを活用した日中・屋外かつ“見通し外”環境下での光無線通信実証に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2023/06/01-1.html - 2022年10月27日 「世界初、ワット級高出力動作の深紫外LED小型ハンディ照射機の開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2022/10/27-1.html - 2022年3月18日 「高出力深紫外LED(265nm帯)によりエアロゾル中の新型コロナウイルスの高速不活性化に成功」
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https://www.nict.go.jp/press/2017/04/04-1.html - 2015年4月1日 「世界最高出力(90mW超)の深紫外LEDの開発に成功」
https://www.nict.go.jp/press/2015/04/01-2.html
補足資料
今回開発した高効率なトップエミッション型深紫外LED


(b) HfO2ナノ光取出し構造部を拡大して撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真 鳥瞰像 及び (c) 断面像

(b) 電力変換効率(WPE)

電流電圧特性の比較

注入電流に対する光出力の比較
用語解説
トップエミッション型深紫外LED LEDチップの上面から光を取り出す構造の深紫外LED。現在実用化されている深紫外LEDの主流であるフリップチップ型(ボトムエミッション構造)が基板側から光を取り出すのに対し、トップエミッション構造ではチップ上面から直接的に光を取り出すことができる。このため、製造工程の簡略化による低コスト化や光取出し効率の向上が期待できる。 元の記事へ
深紫外LED
深紫外(Deep Ultraviolet: DUV)波長領域の光を発する半導体発光ダイオード(LED: light emitting diode)。
紫外線の中でも特にUV-Cとして分類される波長280 nm未満の深紫外光を発する深紫外LEDは、殺菌、水や空気の浄化、医療機器、通信・センシング応用など、様々な分野で新たな市場創出が期待されている。
波長280 nm未満の深紫外光は、オゾン層ですべて吸収されるため、280 nm未満の太陽光は地表には降り注がず、ソーラーブラインド領域とも呼ばれる。そのため、太陽光のバックグラウンドノイズの影響を受けない光信号の送受信が可能となる。
また、例えば生物のDNAやRNAは自然界には存在しない280 nm未満の光に対して強い吸収構造を持つ。この特性により、例えば深紫外光を使えば、塩素などの薬剤を用いずに、細菌やウイルスなどを効果的に殺菌・不活性化できる。
従来、深紫外波長領域の光源としては、主に水銀ランプが用いられてきた。しかし、水銀ランプは、人の健康や環境に有害な水銀を含み、2017年発効の「水銀に関する水俣条約」により、その廃絶に向けた国際的な取組が加速している。深紫外LEDは、低環境負荷であるだけでなく、コンパクトで低電圧駆動、長寿命といった特性をもち、水銀ランプに代わる次世代の光源として高い注目を集めている。
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フリップチップ型(ボトムエミッション構造) LEDチップを上下反転(フリップ)して支持基板(サブマウント)に接合し、発光した光を基板側から取り出す構造。現在実用化されている深紫外LEDの標準的な構造である。一方で、チップ転写や接合などの工程が必要となるため製造プロセスが複雑であり、また光が半導体層や基板内部に閉じ込められやすいことから、製造コストや光取出し効率の面で課題がある。 元の記事へ
ナノ光取出し構造 光の波長(数百ナノメートルオーダー)以下の微細構造を駆使することにより、発光素子の内部に閉じ込められた光を効率的に外部へ取り出す技術。ナノメートル(nm)とは、10億分の1メートルを表す単位。今回開発した深紫外LEDでは、チップ上面の電極開口部に酸化ハフニウム(HfO2)からなる波長スケールのナノフォトニック構造を形成することで全反射を抑制し、チップ上面から直接的に光を外部へ取り出せる角度範囲を拡大することにより、高い光取出し効率を実現した。 元の記事へ
電力変換効率(WPE: Wall-Plug Efficiency) LEDに供給した電力(電流×電圧)に対する、外部に取り出される光出力の割合。電気エネルギーから光エネルギーへの変換効率を示す指標。 元の記事へ
AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)
窒化アルミニウム(AlN)と窒化ガリウム(GaN)の混晶材料。直接遷移型の窒化物半導体であり、AlNとGaNの混晶組成比を変えることで、その発光波長を深紫外領域のほぼ全域(210〜365 nm)で任意に制御することが可能である。
深紫外LEDを実現する上で、現在のところ最も適した材料であると考えられており、主にMOCVD法(有機金属気相成長法: Metal organic chemical vapor deposition)と呼ばれる結晶成長方法により製膜される。
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光取出し効率 半導体内の活性層で発光した光のうちでLED外部へ有効に取り出された光の割合。現在、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)系深紫外LEDの高効率化・高出力化を阻んでいる要因の一つが、極めて低い光取出し効率の問題である。 元の記事へ
本件に関する問合せ先
未来ICT研究所 神戸フロンティア研究センター
深紫外光ICT研究室
井上 振一郎
nict.go.jp広報(取材受付)
広報部 報道室
nict.go.jp